魔法の乗り物と道の果て

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 子供の頃の記憶というのは断片的であるが、妙に鮮明に憶えている部分がある。先にpower's cycle diaryに投稿させていただいた記事の中でも少し触れているが、10才の頃に手に入れた自転車に纏わる記憶は僕にとって消し難いモノになっている。当時、両親の離婚で母子家庭だった僕は、学校から帰っても家には誰も居なかった。そんな中、与えられた自転車は、それこそ何処でも行ける魔法の乗り物だった。以下は70年代半ばのある日の記憶を書いたモノである。


 言わば飛び道具だった。小学校5年のとき買ってもらった5段変速の自転車は、行動範囲を格段に広げてくれた。もともと知らない所へ行くのが好きだった僕は、孫悟空の金斗雲よろしく毎日乗り回した。大きな歯車で漕ぐと軽いけど余り進まない、小さな歯車で漕ぐと重いけどたくさん進む。変速ギアの仕組みに慣れたのもその頃だった。その当時の自転車はたぶんこんな感じ
cycle_kei.JPG

 夏休みのある日、自転車に乗った友達2人に僕は「この道をどこまでも走ろう」と提案した。遠くまで行くと親に叱られるという者もいたが、結局3人で行く事になった。かくして僕たち3人は遊びなれた町内を出発した。自転車は交差点や信号を幾つも過ぎる。隣町のそのまた隣町も越えて進む。真夏だから直ぐに喉が乾いた。公園を見つければ水道ぐらいあるのだが、知らない町だからどうしようも無い。当時はジュースの自動販売機なんてそうそう無かったし、あったところでお金も無い。どうしたか。僕達は民家を訪ねた。「ごめんください、すいません、水を飲ませてください」こんな調子だったと思うが、家から出てきたオバさんは、水を飲ませてくれた上にパンまでくれた。今にして思えば図々しい話だが、そんな風だった。
torii.jpg

 どれぐらい漕いだのだろうか、辿り着いたのは山だった。見上げると不思議な光景があった。山に続く細い道には階段があって、その先には赤い柱が何本も見える。良く見るとただの柱ではなかった。鳥居だった。斜面に数えきれなぐらいの赤い鳥居が並んでいてそれが山の奥まで続いている。僕達は自転車を降りて、幾つもの鳥居をくぐり山道を登った。しばらく行くと突然視界が開けて広い場所に出た。そこが「道の果て」だった。立派な御堂やキツネの石像があるのを見て、そこが寺か神社であることは判った。数年後に僕はそこが伏見稲荷大社であった事を知るのだが、当時の僕達にそんな事はどうでもいい事で、それよりも何よりも僕達には達成感があった。頑張った末にゴールを見たのだ。ただ、みんな気持ちは満足でも腹は相当空いていた。どうやって帰ったのか、帰りの記憶はほとんど無い。

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コメント(6)

まささん、こんばんは。
自分は70年代前半の生まれですが、子供の頃に自転車に乗って遠くに行った事を思い出しました。
いつも遠くに見える「赤と白のストライプの煙突」を目指し、友達と冒険しに行ったんです。横大路のゴミ焼却場だったんですが、巨大な基地みたいで感動したのを覚えてます。
当時は今と違い、子供は外で遊ぶのが普通でした。(ファミコンとかなかったし)
釣りや虫取り、秘密基地遊びが定番でしたね。
自分が子供の頃はまだ長岡京市の小畑川に「オイカワ」がいたりしたもんです。ゲンゴロウや水カマキリも捕まえたっけな。
まだ自然がそれなりに残ってたんでしょうか・・・
話がそれましたが、子供にとっての自転車は今でも「魔法の乗り物」なんでしょうね。
そういう気持ちをずっと大切にして欲しいと思います。

自転車・・・懐かしい写真でした
こんな自転車乗っていましたよ
私は海の近くに住んでいたので 新しい自転車を買ってもらっても潮風ですぐに錆びてしまうのです
今ほど ステンレスが豊富じゃなかったからね
高校の3年間 片道40分かけて通学したからババチャリの走らせかたには誰にも負けないつもりです

写真見ただけでわかりましたよ 伏見稲荷大社
実家の関係もあって よく足を運びました
最近 お参りしてないなぁ・・・
近くの甘いあげが特徴のきつねうどんと稲荷寿しも食べていない
京都の紅葉 見ごろは12月になりそうですね

ジョーさんへ
>いつも遠くに見える「赤と白のストライプの煙突」を目指し、友達と冒険しに行ったんです
何かを目指して冒険の旅に出る。着いたのは巨大な基地だった。何かワクワクするような、懐かしい話ですね。そう秘密基地!僕にも経験があります。大人には決して言わない秘密があって、それを仲間と共有する感覚が楽しかったです。今の子供たちに、秘密基地の体験があるとすればテレビゲームの中ぐらいでしょうか。

ひでぼんさんへ
まずは、Happy Birthday!36才の誕生日おめでとうございます。
>高校の3年間 片道40分かけて通学したから
毎日往復80分はなかなかの距離ですね。腹へったでしょう(笑)。私もママチャリの自転車通学でしたが、あの頃はいくら漕いでもへっちゃらでしたね。
京都市内の紅葉は11月下旬から12月にかけてがナイスでしょう。そのうち良さげな所を自転車で回ったら、記事で紹介します。

どこまでも走ろう、知らない町へ行こうとたどり着いた先が、伏見稲荷というのは、なんとも素晴らしい。
子供にとってあの景色は夢か幻かという位のインパクトだったと思います。

いつまでも果てしない夢を持って、走り続けたいですね。

yumeさん、今晩は。
京都は基本的にどっちを向いても最後は山に当たってしまうモノで、どこの山にも大概は寺社や仏閣があったりします。だからあの日、伏見稲荷にぶつかったのは本当に偶然としか言いようが無いんです。ただ山に続く赤い鳥居群は相当に印象強かったみたいです。

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