窓の外はもの凄い雪が降っていた。まるで北陸あたりの街の風景だ。数日前、日本列島を襲った大寒波は3日程のインターバルを経て再び襲来して大雪を降らせた。昼を過ぎても雪の勢いは治まらない。毎年12月あたりは暖冬と言われて久しいが、今年は寒いし雪もよく降る。

ニュースによると暖房器具も良く売れるし、灯油の値段も上がっているらしい。冬が寒くてXmasウィークに雪が降るのは商売人からすれば歓迎される事態なのだろう。Xmasはもうすっかりこの国の年中行事である。街はネオンや装飾物に彩られ、テレビもネットもこれでもかと言うくらいにソレを煽っている。多くの人は何の疑いもなくそれを受け入れて、食事をしたり、プレゼントを贈り合ったり、特別な感情をもって過ごしている。かく言う僕も毎年ケーキを食べて子供に何か買っている。

色眼鏡で見ればXmasという行事は巨大な商業イベントだ。しかしそれはこの国にしっかり根付いていて、Xmasをどう過ごすかがその人の幸せのバロメーターのように言われている。本当は関係ないと思うのだが・・。しかしまあ、若い世代にはやはり特別な行事であるようだ。以下は、仕事場での僕と20代の若い男性社員の会話である。
僕 「Y君、やっぱあれか・・クリスマスは彼女とデートか?」
Y君「ええ、彼女と焼肉食べに行きます」
僕 「そうか、いいな。それでなんだ、プレゼントなんか買うわけだな」
Y君「はい、エルメスの財布をネダられてます」
僕 「エルメスか・・幾らするんだ?」
Y君「たぶん5万ぐらいです」
僕 「ご、5万か・・結構するな。焼肉代は誰が払うんだ?」
Y君「僕っす」
僕 「彼女は働いていないのか?」
Y君「働いています」
僕 「OLか?」
Y君「いや、キャバクラで働いています。知り合ったのもその店なんです」
僕 「・・・」
「おいおい、それって本当に彼女なのか?」と言いたいところだったが、グッと言葉を飲み込んだ。
Y君は長身で気の優しい好青年だ。僕から見ても純朴なところがあって人を疑う事を知らない。そんな彼だから僕は気になって、あとで別の社員達に聞いてみた。すると「アイツはたぶん騙されている」「やめろと言っても聞かないだろう」と言う意見だった。
「5千円の財布にしとけ」と忠告したいところだが、僕が若い人のプライベートに口を挟むのも野暮ったい話である。彼には彼なりの事情があるし、何よりも彼はデートを楽しみにしている様なのだ。それにしても彼女だかキャバ嬢だかウグイス嬢だか知らないが、当然のように高価なモノを買わそうとする今時の若い女はおぞましい。やはりXmasがロマンチックだなんてのはウソだな・・。