木津川を下った。土手には秋桜が咲いていて、草むらでは虫が鳴いていた。雲が多くて秋晴れとはいかなかったけれど、自転車道には乾いた風が吹いていた。どうやら、今年もちゃんと、夏の次には秋が来そうだ。
木津川がL字にうねる場所、泉大橋が自転車道の終焉だ。その脇に寺がある。その名も泉橋寺である。その浄土宗の小さな寺門の脇には、大きな石仏が座っている。その石段で、携帯食を喰いながら、帰りのルートを考えた。来た道、つまり自転車道を戻るのが、一番安全で手堅い。しかし、それでは面白くない。
府道70号は国道24号の東側をほぼ平行に延びている。いわゆる旧道で、山背古道と呼ばれている。道の東側、旧山城町、井出町と続く山の斜面には、幾本もの川が流れいて木津川に注いでいる。それで小さな橋を何本も渡る。場所に寄っては、天井川になっていて川を潜る事になる。そして、川の上流には、たいがい寺や神社の一つや二つはある。山城町だけでも、その数は判らないぐらい古刹の宝庫だ。
平行に走るのは道だけじゃない。線路も延々と平行だ。府道70号の旅は、JR奈良線の旅でもある。自転車で走れば、幾度と無く電車に遭遇し、踏み切りを渡る。駅の周辺には、人の生活と賑いがあるのだが、昭和の時代と寸分変わらない佇まいは郷愁を誘う。府道70号は府道69号を経て宇治市に至る。


