チャイニーズレストラン

チャイニーズレストランロビーの中央に立てられたXmasツリーを見れば、師走の風情である。大正チックに設えられたロビーのソファーには数人の客がいた。見たところ、ほとんどが私より年輩者だ。めったに来ないホテルに来たのは、食事をするためである。同伴者は、インチキ風水師こと妻である。

「京都ホテルオークラ」は、元は「京都ホテル」である。「京都ホテル」と言えば思い出す事がある。良くも悪くも、世の中が脳天気で明るかったバブル期、60mという今の高さへの改築をめぐって、景観論争が繰り広げられたのだ。それは、議会、市民団体、仏教会、マスコミなどを巻き込んだ、けっこう激しい論争だったと記憶している。かくして、出来上がったホテルは周辺の建造物を見下ろす威容である。京都市役所の東隣、河原町御池という立地もあって、今や完全に街のランドマークである。

中華料理と言えば、「餃子の王将」と私の相場は決まっているのだが、今回ばかりは逸脱している。ホテルの中華レストラン、着いた席は、窓から庭が見える静かなテーブルだ。21回目の結婚記念日。紛争がなければ、ささやかではあるが、こうして食事するのが慣例である。

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料理を食べながら、私は先日あった高校のサッカー部の忘年会の話をした。その忘年会で聞かされたのは、余りにも早い同級生の訃報だった。数日前に亡くなったという。そこに居て一緒に飲み食いしているハズの同級生の訃報である。にわかに信じられない気持ちだった。伝わる話によれば、亡くなった彼の人生は、精神的にも肉体的にもしんどいものだったようだ。なんともやるせない。ポツリ、ポツリとではあるが、同級生の訃報に触れる世代になっている。

妻は看護師をしている。妻の職場は、心や身体を病んだ人たちが集まる病棟である。妻が言う、看護と介護との境目は限りなく無いに等しいと。そして病人とそうでない人の境目もしかりだと。

健康である事、人が生きる上での命題である。しかしながら、日々ストレスを食っているような現代社会で、どこの誰が「心身ともに健康である」と胸を張れるだろうか。頭髪に霜が降る歳になって感じるのは、「健康」である事の難しさだ。実のところ健康と病気はシームレスで、我々は垣根のないグラデーションの中に居る。濃淡の差はあれ、みんな何か抱えた半病人かも知れない。

中華料理に戻る。肉を口にしない妻は、カニや海老といった魚介料理が中心である。私は、魚介類はもちろん、青椒肉絲(チンジャオロース)なんかも食べた。デザートは杏仁豆腐という具合だ。美味しかった。御池通りでは、師走の寒風が褐色の欅の葉を散らせていた。

 

“チャイニーズレストラン” への2件の返信

  1. 竹輪さん。新年明けましておめでとうございます。
    竹輪さんの記事とずいぶんタイムラグがありますが、
    ご夫婦で結婚記念の食事会とはいいですね。
    我が家では・・・
    ずいぶん前に修学旅行の引率で京都に行った時に
    京都駅(たぶん右側のエスカレーターの前)に大きな
    クリスマスツリーが飾られていたことを覚えています。
    京都の師走は趣があっていいですね。
    お互い50代の後半にさしかかりますが、健康に留意して
    過ごしていきましょう。

    1. 松さん、あけましておめでとうございます。
      お互い無理が利かない年代になってますね。健康こそが財産であると肝に命じる日々です。
      京都は比較的暖かい新年です。そのうち来るであろう雪や寒波に身構える日々です。
      地震で大きな被害が出た熊本は復興の新年ですね。いい年になる事を祈っています。

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