龍の湖と月ヶ瀬梅渓 -春の輪行その1-

龍の湖と月ヶ瀬梅渓 -春の輪行その1-春の早朝。パッキングしたロードバイクを担いで、電車に乗った。自転車業界で言うところの輪行(自転車を手荷物にして電車に乗る事)である。スポーツバイクが人気の昨今、輪行については、あちこちの雑誌やメディアで紹介されている。自転車のパッキングと多少の作法を習得すれば、電車と自転車の連係で活動範囲は格段に広がる。花粉の飛散と共にオヤジの鼻はムズムズ、気持ちはソワソワ、前夜からゴソゴソと支度をして、ひとり善がりなオヤジの旅の始まりである。

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4本の電車を乗り継いで、降り立ったのは月ヶ瀬口駅である。あるのは線路を跨ぐ跨線橋と小さな駅舎、無人駅で改札もない。代わりにあるのは切符の回収箱だった。駅前と言っても閑散とした山の集落だ。そこで輪行バッグを解いて、自転車を組み立てた。

月ヶ瀬は、京都府と奈良県と三重県、三つどもえの県境にあたる。その地形から多くの府県と接する京都府だが、南の端っこあたりの府境は少々複雑だ。三つどもえと言ったが、すぐ北は滋賀県の県境も近いから、ほぼ4つの府県が交わるような”県境銀座”になっている。そんな秘境への輪行を可能にしてくれているのは、大阪の難波と愛知の亀山を結ぶ関西本線だ。

県境の山を切り裂くように流れるのは名張川である。その流れは、高山ダムとなって堰き止められている。竣工は1969年とある。大阪万博の前年のことだ。私同様、高度成長期の産物であるダム湖は、今もその懐に滔々と水を湛える。

名張川を堰きとめた高山ダムの姿を地図で見ると、龍が北の方角へ向かって大きく口を開けている。そう見える。今にも火を噴きそうだ。言うなれば、”龍の湖”である。ダムサイトは龍の鼻先にあたる。秘境と龍の湖と来れば、どこかの冒険映画か、RPGゲームのようだが、数年ぶりの輪行に挑むオヤジの意気込みは、もうそれこそ『勇者ヨシヒコ』である。何を言っているのかよく分からないが、だいたいそんな感じである。

龍の鼻先から川を遡上した。そこそこ険しい上り道をこなして、ダムの中流域にやって来た。そこは龍の胴体部にあたる。渓谷を彩るのは一万本のだ。幽玄の秘境にして、関西屈指の景勝、月ヶ瀬梅渓は満開である。渓谷美と満開の梅が創る絶景は桃源郷なのか。赤い八幡橋のたもとで、缶珈琲を買ってしばらくペダルを休めた。おそらく続く。

 

“龍の湖と月ヶ瀬梅渓 -春の輪行その1-” への2件の返信

  1. 竹輪さん、今晩は。松橋の松です。
    春の訪れとともに、おっさんたちが蠢き始めましたね。
    熊本はサクラは今週末が盛りで、平地では来週初めには散ってしまいそうです。京都はどうですか。写真では良い具合に色づいていますね。
    春休みなり、まだ、ロードバイクの実走はおこなっていませんが、4月1日には三角半島1周か、熊本市内までポタリングをしようと思います。
    竹輪さん、ロードバイクの旅を満喫されて下さい。

    1. 松さん、今晩は。
      出たとこ勝負の放浪旅でしたが、晴天に恵まれて走ってきました。肥満オヤジですから奈良山中の峠超えでは、死にそうでした。
      京都市内の桜も例年より早めで今週末がピークです。
      三角半島の桜は奇麗でしょうね。松さんもランニングにロードバイクに満喫なさって下さい。

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