自転車: 2007年3月アーカイブ

 虫が地中から這い出るのと同じ理由で家を出た。外をウロウロするには絶好の暖かく穏やかな日和だ。大原野から丹波街道を南進する。さしあたって見えるのは、民家と田畑と竹林だ。跨るのは、冬の寒さを言い訳にして、穴熊のような怠惰な生活をしていた中年おやじにも、走る勇気と季節がある国に生まれた喜びを、鼻の穴の粘膜からも感じさせてくれるという例のルンルンだ。へクション!

 丹波街道とは府道10号の別名である。道は京都西部の大原野、乙訓あたりの丘陵地を抜けて、北は大江、南は大山崎を繋いでいる。道は西山連峰の麓に張り付くように延びていて、脇には寺社や古墳の類がたくさんある。8世紀、平安京遷都の直前、そこにあったのは長岡京の都だ。当然だが地域の理は相当に古く、古刹の宝庫でもある。
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 サントリーがある大山崎あたりに近づくと勾配が増してくる。頭上は天王山だ。坂を登って天王山の麓にある観音寺(山崎聖天)の高台の公園で暫く休憩。電車と街を眺めてボーっとした。人間ボーっとする事は大切だ。ふと上に目をやると桜が咲き始めていた。

 桜の開花予想を訂正した気象庁は、その訳を"コンピュータの入力ミスだ"と発表した。何かもっともらしい言い訳のように聞こえるが、責任を機械に押し付けているようでチョット見っともない。操るのは人間だから悪いのは人間だろう。「今年の開花予想は難しすぎました。ごめんなさい。」とぐらい言えれば可愛いいのに、コンピュータだのデータ入力だの、そんな能書きは聞き苦しい。

 3月も3分の2が過ぎて暦はどんどん進んでいるが、えらい寒い。お腹に蓄積したモノを少しでも消費しようと、寒風が吹くある平日、家を出た。駆るのは季節の変わり目の寒暖を背筋と顔の毛穴から感じさせてくれる例のナニである。
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 例によって京都西部、大原野をウロウロ。太陽は雲間を出たり入ったり、ハッキリしない天気だ。3月の乾いた寒風は容赦がなく、中年男の顔と爪先から熱を奪う。そこかしこでは咲いているけれど、桜の蕾はまだ堅そうだ。色の少ない景色の中に菜の花の黄色だけがひときわ眩しいのだった。

2008年7月

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