2月も残り少なくなったある日、嵐山にやって来た。渡月橋の北詰から旅館や料亭が並ぶ路地を行く。駆るのは、待ち焦がれた季節がもうそこまで来ている事を鼻の穴の粘膜からも感じられるという例のウフフだ。暫く行くと寺の敷地に出た。天龍寺である。この辺りの敷地の相当部分は天龍寺の境内である。適当にウロついても大概は天龍寺に行き当たる。
人けも疎らな境内に赤い花が咲いていた。これは椿なのか山茶花なのか。どうも判らない。椿は花が首ごと落ちることから、武家からは忌み嫌われたという。椿ならば首から落ちているハズだが、木の根元を見ると結構花びらが散っている。つまりこの花は椿ではなく山茶花ということか。それにしても寒さにじっと耐えて凛と咲いている姿は芯の強さを連想させる。山茶花の花言葉は「困難に打ち勝つ、ひたむきさ」という事だが、異国の大舞台でプレッシャーに打ち勝ったこの人も芯は相当に強そうだ。感動した。


