花: 2006年4月アーカイブ

 海津大崎のは、コンビニ弁当を湖国一美味しいランチに変えてくれた。燃料は満タンだ。満開の桜トンネルの下、渋滞の行列をすり抜けて先へ進む。元々道幅はそう広くないから大変だ。海津大崎は琵琶湖の北端に丸く突き出た岩場で、道路を通すためにトンネルが四つも掘られている。自転車でも走ってしまえばあっという間だ。トンネルを過ぎると車はだいぶん空いてきた。
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 海津大崎を過ぎても桜並木はずっと続いている。海津から奥琵琶湖に至るまでの入組んだワンドを彩るのはもちろん桜だ。盆と正月が一緒に来たような海津大崎よりも、静かな分こちらの方が好印象である。続く桜並木と澄んだ水面を見ながらゆっくりとペダルを踏んだ。ワンドをぐるりと走れば、さっき通った桜並木がピンクの帯になって見えている。頭の中はいたって脳天気、もう鼻歌だって出てきそうだ。ところがドッコイ、後に僕は愕然とした。


 単独走行というのは確かに気楽ではあるが、間違っても正してくれる人がいないのは問題だ。琵琶湖の果てで自分のアホさ加減を改めて認識した。場所は奥琵琶湖パークウェイの入り口である。横に見える側道は集落の奥で行き止まりだと言うではないか。予定では琵琶湖パークウェイを避けて通りつもりだったのに。長浜方面に抜けるには、この琵琶湖パークウェイを登るか、それが嫌なら別れ道まで10キロ近く戻らなければならない。さすがの僕もこの時ばかりは焦った。ただでさえパンクやら何やらで時間はおしている。登るのか、戻るのか、どうするのか。そうだ、もう一つ選択肢があった。湖に身を投げて旅を終えよう。名案だ。そうも思ったが、家で待つ二人の子供の事を考えて、思い留まった。結局、戻る事にした。こんなことで日が暮れるまでに琵琶湖大橋に戻れるのか。


 琵琶湖の東岸に抜けるためトンネルを三つ潜った。最後の賤ヶ岳トンネルは怖いの何のって、数十トンもあるトラックが轟音と伴に襲って来る。たまらず僕は狭い側道を押して歩いた。本当は長浜や彦根をウロつきたいところだったが、時間の関係でそうも行かない。遅いくせに腹だけは一丁前に減る。国道8号のスーパーに寄り、唐揚げ、ウインナー、おにぎり等で補給する。徐々に傾く太陽を睨みながら長浜、彦根、近江八幡とペダルを踏んだ。ゴールの地、琵琶湖大橋の登りはヘロヘロ、時刻は午後6時前だった。パンク1回、進路間違い1回、立ちゴケ1回。でも頑張った。
走行距離164km、走行時間6時間45分、平均速度24.2km/h

海津大崎三ツ星弁当 ‐琵琶湖一周番外編‐

 嵯峨野の広沢池近くに立派な枝垂れ桜がある。染井吉野に比べると見ごろは早くて、四月初旬でほぼ満開である。枝垂れ桜の前にはかがり火が焚かれ、ライトで照らされたピンクの花びらが夜空に映し出されていた。
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 この枝垂れ桜をネットで検索した。いろいろ出た。桜の持ち主は「知る人ぞ知る」だった。江戸時代から続く造園業者で16代目佐野藤右衛門氏、日本一の桜守(さくらもり)。さかのぼって14代目佐野藤右衛門は昭和初期に窮地に陥っていた日本中の桜のために尽力した人。詳しくはこちらで。


 枝垂れ桜が立っているのは通称きぬかけの道だ。一帯はチョットした桜庭園のようになっている。僕がこの枝垂れ桜を初めて見たのはもう二十年以上前になる。道は大学への通学路だったから、毎日のように桜の木の前を通っていた。春のある夜、照明に照らされて夕闇に浮かぶ桜を見て、ああ綺麗だな、と思った。それが始まりで卒業してからも、時季には毎年のように足を運んだ。ここ数年は縁が無かったのだが、久しぶりにやって来た。藤右衛門の枝垂れ桜は今年も見事に咲いていた。

佐野邸/藤右衛門桜ビデオ2006
asahi.com:造園家・桜守 佐野藤右衛門さん(77) - マイタウン京都

2008年7月

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