自転車乗りが行き交う御幸橋は三川が合流する場所である。三本の川がギュっと結束バンドで締められた様な地形は京都盆地と大阪平野の接合部でもある。そのクビレの北側、天王山の麓に日本のウイスキー発祥の地がある。サントリー山崎蒸溜所だ。
蒸溜所内を案内してくれたのは、可愛いお姉さんだ。ウイスキーが出来るまでの行程を解りやすく説明してくれる。その辺の薀蓄は他に譲るとして、印象深いのは熟成中の樽が眠る貯蔵庫だ。冷たい空気が漂う薄暗い部屋に年号が打たれた樽が整然と並んでいる。古い物では50年を経たソレもあった。無色透明だった液体が樫(ホワイトオーク)の樽の中で寝かせられ、いつしか深い琥珀色に生まれかわるという。樽の一つひとつに個性があって、どれ一つとして同じウイスキーは生まれないという。
案内の最後には試飲をさせてくれた。しかも案内役のお姉さん達が支給してくれる。まあ変なスナックに比べれば雰囲気も応対もグッドで、おかわりも薦めてくれるサービスぶりだ。シングルモルトを中心に何種類かのウイスキーが味わえる。中でもこの蒸溜所を名打った「山崎」は今やサントリーの看板商品といえる。「山崎」には10年、12年、18年、25年モノがある。時代を経たモノほど値は張る。
僕のお気に入りは「山崎12年」だ。仕事が引けた後たまに、とある処でそれを飲む。弱いのでたくさんは飲めないが、なんだカンダと自分の不出来を悔やみながら、諦めながら、ちびちびウジウジやっている。いまだ熟成しきれない42年モノ。


