田植からそう日が経っていない稲はまだ小ぶりだ。大原野に広がる田圃の緑は、梅雨の恵みと夏の陽射しを受けて日に日に勢いを増している。梅雨の晴れ間のある日、善峯寺に続く坂道を愛車で登った。先週、金蔵寺の山を登ったのだが、その隣の山に善峯寺がある。その二つの寺を比べれば、規模も知名度も善峯寺の圧勝で、徳川五代将軍綱吉の生母"桂昌院"が再興したという同寺は、西国20番目の札所になっている。今時は紫陽花が美しい。自転車乗りの立場から坂の印象を語れば、金蔵寺の坂はワイルド、善峯寺のそれは道幅が広いぶん少しは社交的か。ただ、激坂の程度は甲乙つけ難い。両方とも"オヤジ殺し"だ。
洛西を見下ろす坂道は寺の山門に近づく程に斜度を増す。赤い橋が架かる駐車場から先は、とんでもない壁坂だ。駐車場で脚を休めた。僕してみれば、殺人的ともいえる坂を必至の思いで登ってきた。心拍はレッドゾーンに達していた。身体中が暑い。水を口から飲んで、頭から被った。高い杉木立の下で暫く休憩。沢から登る冷たい空気が気持ち良い。
山を降りて、南へ向いた。大山崎に至る。国道五条本から天王山大橋を渡った。眼下は母なる川、桂川である。渡ればそこに自転車道がある。御幸橋は目の前、自転車道で帰路に着いた。
