京都: 2007年6月アーカイブ

 出会いから話そうと思う。僕が初めて彼女を見たのは、梅雨の曇り空が広がる6月のある月曜日の事だった。例によって嵯峨野から広沢池辺りをウロウロした後、ぶらりとトーヨーサイクルに立寄った。挨拶をするとおやじさんが、「どうですコレ」と言う。振り返ると、入り口横のウィンドウに彼女はいた。山吹色のグラマーなボディからキユッと締まった足首が伸びている。なんとも言えない存在感と色気に僕は胸を打ちぬかれた。さしずめ出会いはスローモンションか。「考えときます」なんて言って、その場はなんとか帰ったものの、その夜は何か悶々としながら病床に就いた。「もらいます」と返事をしたのは翌日の昼だった。

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 ネットで調べると、どうやら2004年モノらしかった。2年以上もの間、大阪の何処かの倉庫に寝かされていたと言う。貸倉庫を持つ仕入業者では、忘れ去られていた品が何かの拍子に出てくる、なんて事がままあるという。神の思し召しか、はたまた悪魔の巡り合わせか。ソレが京都の店にやって来て、その日の内に僕は惚れてしまった。

 トーヨーサイクルでロードの買い物はこれで二度目。一度目のマドンには何の不満もない。どちらかと言えば、僕にはオーバースペックである。ただ伊太車が欲しかった。念願だった。今回はフレームのみである。下品にならない様に、手元のパーツと相談しながら、上品に組上げたい。ぬはは。。

深泥池

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 賀茂川に架かる北山大橋を東へ渡ると、植物園前通りになる。北側に軒を連ねるのは、洋服店、雑貨店、カフェ、洋菓子店、ペットショップなどだ。どれも小奇麗で、高級そうで、僕とはいっさい関係がない。通りを歩いているのは、きっと若くて美しい女性ばかりだろうから、先日見た弘法縁日の九条通りとは真逆の光景である。けやき並木のセレブ通りを舐めるように見物して、場違いな自転車オヤジは北へ進路を変えた。

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 下鴨と岩倉を分ける小高い丘の懐に池がある。深泥池である。街道が池の畔に沿って緩やかにカーブしている。路線バスも通るという交通量の割りに道幅は狭い。バブル期には、池の一部を埋めて道幅を広げようとしたらしいが、市民や学者の猛反対にあって、頓挫したと記憶する。深泥池の自然は学術的に大変貴重であるらしい。因みに、みぞろがいけ、又は、みどろがいけ、と読む。畔を半周して小山を越えれば、岩倉に至る。

 梅雨入りした。毎度の事ながら天気予報は当たらない。梅雨前線の振る舞いは、まるで悪女の様に気まぐれで奔放だ。浅はかで下心が透けて見える人間の"天気読み"など当たるハズもなく、プリッと尻を向けられ肘鉄を喰らわされ日にゃ、雨の予報が見事なピーカンと相成る訳である。

 大きな声では言えないが、水もしたたる悪女、梅雨姉さんには小笠原気団とかいうパトロンがいる。このダンナがまた暑苦しいオヤジである。頼みもしないのに高温で湿った空気をどんどん運んできて、カビは生やすは、モノは腐らすはで、どうにもならない。熱帯性だか、太平洋性だか知らないが、ジメジメしていてホンマに鬱陶しい。

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 そんな梅雨の晴れ間に自転車に乗った。暑さと湿気でペダルの音も湿り勝ちである。夏景色の田畑を進み、竹林を抜けて、を登れば、もう汗だくだ。善峰寺に通じる坂の途中に十輪寺という寺がある。案内板に因ると、同寺は平安期の粋なオヤジ、在原業平の庵だったとある。別名、業平寺とも呼ばれるらしい。山門の脇に咲くのは、涼しげに色づいた紫陽花だった。余り追い込むな、夏は長いぞ、ぼちぼち適当に行けよ。ブラジャー!

 江文峠を越えて大原に来た。良い天気である。オヤジ二人の自転車は、のどかな旧道をゆっくり進んで百井峠へと続く坂道に入った。暫らく雑談しながら登ると途中から傾斜が増して来る。見ているだけで脚がつりそうだ。立ち漕ぎと蛇行を駆使して激坂をよじ登った。見上げると、まだまだとんでもない坂が続いている。そこそこ頑張ったけれど、あまり時間も無いので引き返す事にした。

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 話は朝に戻る。同い年のローディと自転車道で待ち合わせた。その人は、このブログにもたびたび登場してもらっているみーこさんである。その日も早朝から既に80km以上走って来たという。行き先は北山・大原という事になった。

 大原の三千院の参道あたりの坂道でウロウロ捜しモノをした。しかし見つからない。三千院の門前で冷やしあめを飲みながら、売店のオバちゃんに、尋ねると、それは目の前の坂を下った所にあるという。

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 オヤジ二人が捜し求めたのは"アイスきゅうり"である。それは湧き水が流れる坂の途中にあった。志ば久という漬物店の店先にある桶の中には胡瓜が泳いでいた。青くて長い胡瓜がフランクフルトのように棒に刺さっている。一本買って食べてみた。店のオヤジさん薦めるられるがままにビールも・・。どちらも冷たくて美味い。

 一乗寺の新座という店でラーメンを食べて帰路についた。♪京都大原三千院チャリに憑かれたオヤジが二人。誘ってくれた友に感謝。71km。

2008年9月

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