京都: 2007年9月アーカイブ

 木津川を下った。土手には秋桜が咲いていて、草むらでは虫が鳴いていた。雲が多くて秋晴れとはいかなかったけれど、自転車道には乾いた風が吹いていた。どうやら、今年もちゃんと、夏の次には秋が来そうだ。

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 木津川がL字にうねる場所、泉大橋が自転車道の終焉だ。その脇に寺がある。その名も泉橋寺である。その浄土宗の小さな寺門の脇には、大きな石仏が座っている。その石段で、携帯食を喰いながら、帰りのルートを考えた。来た道、つまり自転車道を戻るのが、一番安全で手堅い。しかし、それでは面白くない。

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 府道70号は国道24号の東側をほぼ平行に延びている。いわゆる旧道で、山背古道と呼ばれている。道の東側、旧山城町、井出町と続く山の斜面には、幾本もの川が流れいて木津川に注いでいる。それで小さな橋を何本も渡る。場所に寄っては、天井川になっていて川を潜る事になる。そして、川の上流には、たいがいや神社の一つや二つはある。山城町だけでも、その数は判らないぐらい古刹の宝庫だ。

 平行に走るのは道だけじゃない。線路も延々と平行だ。府道70号の旅は、JR奈良線の旅でもある。自転車で走れば、幾度と無く電車に遭遇し、踏み切りを渡る。駅の周辺には、人の生活と賑いがあるのだが、昭和の時代と寸分変わらない佇まいは郷愁を誘う。府道70号は府道69号を経て宇治市に至る。

 何リットルもの水を飲み飲み、険しい峠を這いずり登って、越畑に辿り着いた。愛宕の麓に広がる棚田は、既に黄色いグラデーションを見せていて、稲刈り作業も始まっていた。さすがに越畑の空気は少し乾いて秋っぽかった。

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 山を走ってツライ目をすると、確認できる事がある。それは、パーツでもって自転車を軽量化しようとしている自分のアホさ加減である。数十グラムの軽量化のために金を叩いている場合じゃない。削るべきは、腰に巻いたラードとベーコンである。分かっちゃいるが・・

 序盤の事。実は六丁峠でコケた。急坂の途中で泣きを入れたものだから、再発進で失敗した。左ペダルが上手く入れられず、ゴソゴソもがいていたら、ステンとコケた。右ひじと右腰骨に痛手を負った。痛くて、情けなくて、帰ろうかと思ったが、思い直した。昔から、諦めは悪い方だ。

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 神吉集落から日吉ダムまでは西日本で一番ヌハハな下りである。首筋を軋ませて、グングン加速した。時速65kmにもなると、もう怖くて踏めない。貸切のようなダウンヒルを下った場所にダムがある、というのが、このルートの魅力だと思う。夏のような秋のような88km。

 激変する政治と同様、天気も不安定だ。乾いた空気と湿った空気が喧嘩する今時の天気は目まぐるしい。晴れていたかと思うと、たちまちドシャ降りの雨になったりする。西山々麓をウロついての帰り、ズブ濡れになった。にわか雨だったけれど、バケツをひっくり返した様だった。

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 こう言っちゃなんだけど、福田康夫でも、麻生太郎でも、どちらでも良い。今、この社会に求められるのは、本当の意味で「大鉈」を振るえる政治家だと思う。社会保険庁や自治体の職員が詐欺と横領を繰り返す一方で、毎日、何処かで、生活にあぶれた人が死んでいる。子供も死ぬ。

 ちょっと前まで日本社会にあった寛容さは、今は無い。メディアを観て思う事だけど、"勝ち組"とか"セレブ"とか、そんな言葉が浮遊する自体、今の日本社会は貧相だと思う。生きる事、働く事、子を育てる事、老後を生きられる事、そういう事が担保されないと、人心は荒ぶばかりだ。あの人は岸信介の孫だったかも知れないけれど、政治家じゃ無かった。次の首相は、本当にリーダーであって欲しい。それが出来るなら、自民党でも、民主党でも、どちらでもいい。

 夏から秋の変わり目は台風の季節だ。次々と台風が生まれて、頼みもしないのに、湿った熱風を日本列島に吹き込む。京都盆地には、空気の抜け道が無いから、ここ数日、ミストサウナの様な状態が続いた。9月半ばだと言うのに。爽やかな気候を期待しているだけに、まったく腹立たしい。

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 チャンスは台風が去った後だ。上手く大陸側から高気圧が張り出せば、素晴らしい気候になるハズだ。そういう日は出動だ。ブルエタの如く、乾いた青空の下を走りたい。登って、下って、たくさん走って、旨い物を食べたい。いっぱいイッパイ食べたい。でも食べたら走ろう。黒光りするのは乙訓の奥海印寺あたりに実った茄子。

     実るほど 世は薄暗い 茄子かな (竹輪)

 ロナウジーニョはドアを開けた所にいた。茶色く細長い顔にカリーヘアだ。作った人に訊いて見ないと判らないが、犬に見える。名前の由来は、かのブラジル代表サッカー選手と顔が似ているからだろうと、勝手に思った。

 京田辺市の松井山手という場所は京都府と大阪府の県境に位置する。JR片町線、別名、JR学研都市線の松井山手駅に拓けたベッドタウンだ。周辺には新しいマンションや住宅が建ち並んでいる。街を横断する山手幹線という道路は比較的「血の巡り」もよく、数キロ西で国道1号と交わる。その街道沿いには、Cafeだの、レストランだの、花屋だの、新しいお店が目に付く。田舎の丘陵地に出来たチョット瀟洒な街、という感じだ。直ぐ東には木津川が流れている。

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 ロナウジーニョが店番をするのは松井山手にある「A table」というCafeだ。木津川の流れ橋からそう距離はない。そこでパスタランチを食べた。選んだのは「トマトと鰹のたたきの冷パスタ」だった。さっぱりと食えた。当然ながら、お客はカップルや女性が多い。隣に座った女性が読んでいたのが、ハリーポッターの英書だったのを見て、軽い眩暈を感じながら、場違いな自転車オヤジは店を後にした。あろう事か、この国の首相が仕事を投げ出した翌日の事だった。

 どうだ、10連勝だ。連勝で首位に立ったかと思ったら、なんと3タテだ。東京ドームで阪神を迎え撃つハズだった巨人は、原監督は、ショックだろうな。

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 巨人も頑張ったと思う。しかし、ことチームの充実ぶりは阪神が一枚上手だ。若手とベテランが見事に噛み合っていた。明日のタイガースを支える、桜井、葛城という岡田チルドレンの活躍も光っていた。さらに三連夜の1点差を制した試合を見れば、1点を護り切れる絶対的投手、藤川球児の存在が際立つ。正直言えば、春先は野球が面白くなかった。その分、秋は面白くなりそうだ。ぬはは。
写真は、阪神タイガース同様、実り多き嵯峨野の稲穂と辛子Bianchi号。

 9月早々の日曜日、結婚式に出席した。ステンドグラスの明かりが差し込むチャペルで賛美歌を歌った。流暢に関西弁を操る外国人牧師の説教を聴いて儀式は進んだ。

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 新婦は僕の妹だ。彼女は昔、2年もの間、末期癌の母親に付添った。あてにならない2人の兄を他所に、日々痩せ衰える母親を看ながら病室で暮らした。花も実もある20代半ばの事である。母を亡くし、三十路をとうに過ぎて、四十を目前にしての結婚だ。集まってくれた人達の気持ちが伝わる素晴らしい結婚式だった。おめでとう。

2008年9月

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