猿丸神社にはちゃんと猿がいた。社を守る狛猿である。境内は広くないが、脇に休憩小屋があった。屋根には煙突が見える。中に入ると囲炉裏があって、法被姿のお婆さんが番をしていた。挨拶をして長椅子に座ると、お茶を入れてくれた。
あれこれ話すと、宮司のお母さんで、御ん年90歳だという。この集落に生まれて、猿丸神社に嫁いだのだという。ずっとここで暮らして来たらしい。山間の集落、神社、囲炉裏、お婆さん、これだけ見れば、もうなんだ、時代は明治か大正か、時間の流れが止まったような空間だった。居心地は良い。囲炉裏で温まると動くのがイヤになって来た。

話は朝に戻る。良い天気だった。倶楽部Gottaniの新年走行会である。自転車乗りの交差点、御幸橋に男前五人が集まった。uenoさん、mackyさん、みーこさん、nasubiさん、僕である。みーこさんは体調がすぐれないにも係わらず、見送りに来てくれた。流れ橋まで走って、みーこさんとは別れた。
青空が広がる木津川を下って、山城大橋を渡って、峠を越えて、宇治田原にやって来た。車の来ない旧道は快適だ。並走しながら話もはずむ。途中、ローディの大集団とすれ違ったりしながら、ズンズン登って行くと猿丸神社の広告塔が見えて来た。
お婆さんの囲炉裏小屋を後にして、猿丸神社の裏山を登った。前々から登りたいと思っていた。だが、これが曲者だった。ヘロヘロになりながら、小癪なアップダウンを繰り返して、幾つも峠を越えた。山上からは街が見下ろせた。

宇治川ラインを駆け抜けて、平等院の参道にある御茶屋で休憩した。宇治川を見渡す二階の間で、蕎麦やら、善哉やら、抹茶やら、何や缶やと食って話した。自転車乗りと過ごす時間は特別に楽しい。御茶屋は中村藤吉平等院支店という。ロケーションが素晴らしい。