「残りの人生、俺と生きられると思うなよ!」
家人にそう言い捨てて、家を出た。犬も喰わない喧嘩の原因は、些細な事かも知れないが、ごっつう腹が立った。口から出るのは、売り言葉に買い言葉だ。
駅前の居酒屋に入った。カッカした気を鎮めるためだ。もう日付が替わろうとしている時間だが、店にはけっこう人が居た。みんな楽しそうにワイワイガヤガヤやっている。空いているカウンターに腰掛けた。
小一時間の間に、ビールが二杯と梅酒が二杯。アテは焼き鳥と胡瓜の漬物だ。酒はそう強くないが、よく飲んだ方だ。調子に乗って、まだ何か飲んでやろうとメニューを手に取ると、表紙に「心の診療所」と書いてあった。ふーん、そうだったの。薬が効いたのか。そう言えば、少し楽になった気がしないでもなかった。
