秋桜と花ざかり

雲ひとつ無い青空が現れた。大陸性の高気圧が乾いた風を吹かせて、太陽は柔らかい陽射しを注いでいる。実りの頭を垂れていた稲は刈り取られ、柿畑のソレは順調に色を変えつつある。大原野は秋本番である。朝夕の冷え込みが心地良い今時が、自転車放浪が命綱のオヤジにとっての絶好期である。

西山連峰の麓。高速道路を見渡す丘陵地。農道の脇に秋桜が群生していた。毎年咲く場所だ。青空に薄いピンクが映えている。

およそパソコンで、「こすもす」と入力しても「秋桜」とは変換してくれない。秋桜は本来、”あきざくら”と読む。秋桜(コスモス)を定着させたのは、山口百恵が歌ったあの歌である。

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七変化の花と東アジア

雨の土曜日、空は灰色である。日本列島に貼りつく梅雨前線は、堅実な仕事ぶりで、京都西山連峰にも、ちゃんと雨を降らせている。灼熱の太陽が現れる前に、夏本番が来る前に、膨大な降水をもたらす。梅雨がくれる分け前は、あらゆる生命にとって、命の水である。それは、四季を操るモンスーン気候の壮大な仕掛けだ。

善峯寺を訪ねた。同伴者は、ウソかホントか、李王朝ゆかりの風水師だという家人である。二人で山門をくぐるのは3年ぶり。前回と違うのは、互いの年齢と、今年は傘が必要なことだ。急峻な小塩山の中腹に建つ古刹は、霧雨に濡れそぼる。入山料は1人500円也。

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桜を数える妻とキッチンに立つ夫

3月の終わり、例年より少し早く、背割り堤の桜は満開を迎えた。青空に薄いピンクのソメイヨシノが映えている。私は毎年のように、この桜を観ている。その桜並木を家人と歩いた。家人が言った。

「あと何回桜を観れるかな」

なんでも先ごろ聴いた竹内まりやの曲の中に、同じ問い掛けがあったという。確か「デニム」というアルバムに、そんな歌があった。調べると「人生の扉」という歌だった。私も歌の詩に共感を覚えながら桜を眺めた。そして、桜が散ってしばらくすると、私たちは一つずつ年を取る。

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龍の湖と月ヶ瀬梅渓 -春の輪行その1-

春の早朝。パッキングしたロードバイクを担いで、電車に乗った。自転車業界で言うところの輪行(自転車を手荷物にして電車に乗る事)である。スポーツバイクが人気の昨今、輪行については、あちこちの雑誌やメディアで紹介されている。自転車のパッキングと多少の作法を習得すれば、電車と自転車の連係で活動範囲は格段に広がる。花粉の飛散と共にオヤジの鼻はムズムズ、気持ちはソワソワ、前夜からゴソゴソと支度をして、ひとり善がりなオヤジの旅の始まりである。

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冬のオリンピックとフキノトウ

暦の上では立春を過ぎている。しかしながら今年の寒さは別格、例年になく厳しい冬である。「アナと雪の女王」の仕業か、北陸あたりでは、道が閉ざされて、街が凍りついている。立春とは言うが、どう見ても今が寒さのピークで、春は遥か彼方だ。これほど厳しい冬をくぐり抜けたあかつきに、訪れる春は、さぞかし素晴らしいに違いない。そう期待しておく。

コタツでオヤジにとってのソウルフードのトックを食べながら、テレビで平昌オリンピックを見ていた。しかしまあ、氷上や雪上のスポーツにあまり興味がないせいか、いまいち面白くない。メディアを見るかぎり、今回のオリンピックは、競技そのものよりも、北朝鮮によるオリンピック外交や各国の思惑が注目されている。分断された半島国家の真ん中で開催されたオリンピックの運命か、政治色は強い。さもありなん。

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冬の花と脂肪の鎧

1月最後の日曜日。ここ数日の強烈な寒波のおかげで、大原野の冷え込みも相当に厳しい。気象予報によれば、シベリアから降りて来た寒気団は、何十年に一度のレベルの凶悪寒波だという。降雪は積もるほどでは無いが、朝方の気温は零下、凍てつく冬である。

ここひと月、忘年会、食っちゃ寝の正月、新年会と、オヤジの身体は充実の一途、寒ブリのように脂がのっている。なんとかしようと、少しばかり運動しては、また食うというマッチポンプである。

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LINEからの警告

背割堤の桜がほぼ咲き揃ったある日の事、私のLINEにとあるメッセージが入った。相手は『LINE』である。その内容は、他の端末から私のアカウントにログインの試みがあった、というものだった。自分であるなら問題ないが、そうでないなら、メルアド、パスワードを変更をしろという。つまりがLINEアカウントが乗っ取られる可能性があるので気をつけろ、という警告である。

他人のLINEを乗っ取るためには、最終的に、本人の携帯やスマホに送られる4桁のPINコードが必要になる。そのコードを教えなければ、まず乗っ取られる事は無い。乗っ取り犯にしてみれば、4桁のPINコードこそが最大の関門になっている。

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