チャイニーズレストラン

ロビーの中央に立てられたXmasツリーを見れば、師走の風情である。大正チックに設えられたロビーのソファーには数人の客がいた。見たところ、ほとんどが私より年輩者だ。めったに来ないホテルに来たのは、食事をするためである。同伴者は、インチキ風水師こと妻である。

「京都ホテルオークラ」は、元は「京都ホテル」である。「京都ホテル」と言えば思い出す事がある。良くも悪くも、世の中が脳天気で明るかったバブル期、60mという今の高さへの改築をめぐって、景観論争が繰り広げられたのだ。それは、議会、市民団体、仏教会、マスコミなどを巻き込んだ、けっこう激しい論争だったと記憶している。かくして、出来上がったホテルは周辺の建造物を見下ろす威容である。京都市役所の東隣、河原町御池という立地もあって、今や完全に街のランドマークである。

中華料理と言えば、「餃子の王将」と私の相場は決まっているのだが、今回ばかりは逸脱している。ホテルの中華レストラン、着いた席は、窓から庭が見える静かなテーブルだ。21回目の結婚記念日。紛争がなければ、ささやかではあるが、こうして食事するのが慣例である。

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初冬の青空とストーブの点火

OLYMPUS DIGITAL CAMERA風はすっかり冷たく乾いている。大原野の丘陵をハロウィンカラーに彩った柿の収穫もすっかり終わった。紅葉はピークを過ぎて、広葉樹は刻々と葉を落としている。ナンだカンだと温かい11月だったが、下旬になってさすがにソレっぽくなって来た。テレビのお天気キャスターは、「寒い冬になる」と言った。

朝晩の冷え込みと引き換えに、晴天率は高い。キリリと締まった青空が現れたある日、ロングのサイクルパンツをはいて家を出た。駆るは勿論、健康診断でコレステロールの値を指摘されたオヤジの頼みの綱、ロードバイクである。

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長雨と彼岸花

1610trekcosmos牛車のようにノロマな台風のおかげで、9月は雨ばかりだった。雨が多い時節とは言え、これでもかと降り倒した感がある。お尋ね者の太陽が現れた10月の初旬、身支度を整えて家を出た。跨るのは、オヤジ世代の喜びも、悲しみも、おなかのゼイ肉も、すべてを乗せて放浪へといざなってくれる例のアレである。

大原野のそこかしこでも彼岸花が咲く季節だ。実りの季節を迎えて、褐色に変わりつつある田圃の畔に彩を添える。その名の通り、お彼岸の頃に咲く彼岸花は、故人を連想させる。

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奈良のカレーライス

OLYMPUS DIGITAL CAMERA真夏の太陽は今が出番とばかり燃えている。朝ッパラからギラギラのドヤ顔で、鬱陶しいったらありゃしない。マクドのハンバーガー&ポテトじゃあるまいし、頼みもしないのに高気温と高湿度がセットである。

レーパンを穿いて、ジャージを着て、凍らせたボトルを持って、身支度を整え、家を出た。駆るは、ひきこもり勝ちな現代人を外へといざなうと意味では、巷で話題のポケモンGOよりも、ずっと健康的で、ノスタルジックで、”どこか遠くへ”というオヤジ世代の放浪本能に見事に応えてくれるというロードバイクである。

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夏も近づく狸うどん、抹茶アイスも食う -和束・信楽100キロ-

yoshiminemichi-nodo02晴天にめぐまれた5月の日曜日、家出した。駆るは、性懲りもなく、「俺もまだまだイケるんじゃないか」という50男の妄想と勘違いを見事に演出してくれるロードバイクである。この乗り物には、自動車メーカーがいくら燃費計算のインチキをやろうが、化石燃料の類はいっさい必要ない。乗り手が食ったモノ、それこそが燃料だ。巷では省エネだのエコだのと、命題のように聞かれる昨今だが、ロードバイクこそが、正真正銘、究極のエコマシーンである。

柳の新芽がまぶしい桂川。5月の日曜日ともなれば、自転車道はサイクリスト達で盛況だ。この日は有難い事に同伴者がいた。同級生のランニングサークルを率いるKさんである。どこへ行こうか、何を食べようか、などと話をしながらペダルを進めた。

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湖西の浜にて

OLYMPUS DIGITAL CAMERA穏やかに晴れた5月の琵琶湖は、もう初夏の風情だ。湖を渡る暖かい風が頬をなでる。沖で遊ぶジェットスキーは少々うるさいが、それを割り引いても、景色も気候も心地良い。水際に立って深呼吸すると、何か懐かしい香りがした。見渡す対岸は近江八幡あたりのハズだ。

 

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街道のしだれ桜

minka-sidare02桜の季節、京都はどこもかしこも賑やかである。自転車オヤジが夢遊病者のようにうろつく大原野も一年で一番華やかな時期を迎えている。4月上旬、普段は静かな街道に、多くの乗用車や観光バスが入って来る。西山の峻峰 小塩山の麓には、『花の寺』の別名がある勝持寺があるし、そこから石段を降りれば、千眼桜の大原野神社がある。ガイドブックに載る様な桜でなくても、西山の風景に溶け込む桜は、どれも美しい。

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