初冬の青空とストーブの点火

OLYMPUS DIGITAL CAMERA風はすっかり冷たく乾いている。大原野の丘陵をハロウィンカラーに彩った柿の収穫もすっかり終わった。紅葉はピークを過ぎて、広葉樹は刻々と葉を落としている。ナンだカンだと温かい11月だったが、下旬になってさすがにソレっぽくなって来た。テレビのお天気キャスターは、「寒い冬になる」と言った。

朝晩の冷え込みと引き換えに、晴天率は高い。キリリと締まった青空が現れたある日、ロングのサイクルパンツをはいて家を出た。駆るは勿論、健康診断でコレステロールの値を指摘されたオヤジの頼みの綱、ロードバイクである。

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自転車おやじのボンゴレロッソ

151018oe-kakibatake01乾いた秋空は、これでもかと言うくらい青い。ひとシーズンに何度もない快晴だ。そんな絶好の日和に、お気に入りのジャージを着て、家を飛び出した。駆るは、もちろん例のアレだ。

ニソト(京都第二外環状道路)の大原野インターチェンジがある辺りは、大枝山と言って、もともと柿畑だった場所だ。10月も半ばを過ぎた頃、今年もタワワに実った富有柿が丘陵地を彩る。秋の富有柿は、春の筍と並んで、洛西の目玉である。

西山々麓、大原野。田畑と竹林を縫って続く細い坂道に、民家、神社、ため池等が点在している。麓を貫いた高速道路の橋脚が連なっている事を差っ引いても、景色はまだまだ牧歌的だ。

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赤い指切りグローブ

wpid-fb_img_1440033711159.jpg夕立の雨が降ると、残暑も一息である。濡れた竹林には凌ぎやすい空気が立ち込めた。大原野の田圃はまだ青いが、稲穂は実りを見せている。空気が冷めた夕時、里山を飛ぶ赤トンボが、季節が進んだ事を教えている。

少しずつ季節は流れて、当たり前だが、その分歳をとっている。脚元にまとわり着いていた子供たちは、いつの間にやら大学生と高校生で、私とほぼ同じ目線にある。何を訊いても、そっけない態度で、会話は続かない。彼らが見つめるのは、スマホかパソコンばかりで、親の顔を見る事は5秒とない。

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天空の集落と水の器

“よしみね道”と呼ばれる府道208号は善峰寺へ続く道である。道としての歴史は相当古いと思われる。向日神社の南、西国街道に端を発する同道は、大原野を横断して、西山々麓へと分け入って行く。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAゴルフ練習場を過ぎて、高速道路の橋脚をくぐった辺りから勾配は徐々に増してくる。山門の手前、バスの駐車場辺りの勾配は、15%以上だろうか。まさに”激坂”となる。脂が乗った戻り鰹のようなオヤジはとうの昔に白旗を上げている。ペダルを外してゼイゼイ、ハアハア、まったくの役不足である。

険峻な小塩山(おじおやま)の中腹にある善峰寺は、崖に建っているも同然だ。自転車で山門まで来るのも大変な試練だが、実は、その先も激坂は続いている。善峰寺の坂道が本当に恐ろしいのはここからなのだ。天空の集落、杉谷までの上りは、最大斜度が30%にもなろうかという極悪非道ぶりだ。坂というより壁である。時折、若いローディーを見かけるが、彼らは猛者である。

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善峰川のホタル

西山連峰の釈迦岳の東、善峰寺の足元で湧き出た水は、善峰川となる。竹林と棚田を縫って流れる善峰川は、いくつかの支流を束ねて、大原野を貫いている。梅雨前線が南へ下がったある日の夕方、善峰川の上流を訪ねた。

初夏の夕暮れ、里山の空気は心地良い。群青の暮れ行く西の空に山の稜線が浮かんでいる。子供の頃の記憶なのか、埋め込まれた遺伝子なのか、どうしてか6月の薄暮は郷愁的だ。

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山法師の季節

雨が降る季節だ。空には灰色の梅雨雲が屯(たむろ)している。ひとりでいると少し沈鬱な気分になる。そうそう明るい気分にはなれないのは天気のせいばかりじゃないかも知れないが、ひとまずは、どんよりとした梅雨空に責任を嫁せようと思う。

梅雨前線が降らせた雨は、大原野のあちこちを潤している。木々も、花も、田畑も、たっぷりと水を吸う時期だ。四季を操るモンスーン気候の大いなる恵みによって、西山はどっぷりと洗われ、緑はいっそう深くなる。

雨あがり、山の緑に呼ばれるように家を出た。駆るは、産まれつき湿っぽい性格の五十男も、こいつに跨りペダルを踏めば、もうすぐ始まるツールド仏の青空のようにスカッとした男になれるんじゃないかと錯覚させてくれるロードバイクである。

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大原野とイオンモール京都桂川

140607haikata-postoffice緩やかに上る坂道でペダルを踏み進んだ。身体が重たいオヤジは、軽めのギアでゆっくり。行く手に広がるのは田植えが済んだ大原野の田園風景だ。畑にはトマトや茄子といった夏野菜がお目見えしている。

道は大原野を横断して西山連邦へと延びている。郵便局とバス停が現れたらそこは灰方集落である。灰方郵便局はおそらく京都市の郵便局の中では西の最果てだろう。

派手な観光資源に恵まれた京都東山に比べると西山は無骨で愛想がない。歴史も由緒もある古刹が多いが浮足立ったところがない。悪く言えば、地味で華がない。善く言えば、媚びない、質実剛健である。

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