長雨と彼岸花

1610trekcosmos牛車のようにノロマな台風のおかげで、9月は雨ばかりだった。雨が多い時節とは言え、これでもかと降り倒した感がある。お尋ね者の太陽が現れた10月の初旬、身支度を整えて家を出た。跨るのは、オヤジ世代の喜びも、悲しみも、おなかのゼイ肉も、すべてを乗せて放浪へといざなってくれる例のアレである。

大原野のそこかしこでも彼岸花が咲く季節だ。実りの季節を迎えて、褐色に変わりつつある田圃の畔に彩を添える。その名の通り、お彼岸の頃に咲く彼岸花は、故人を連想させる。

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オータムテキストと満月モール

神無月。手品のように咲いた彼岸花は、田圃のあぜに散った。代わって、街道の路肩を飾ったコスモスだったが、それももう終わりだ。日ごとに冷める空気が山里の景色に明暗を与えている。忍び寄る秋の仕業は、研ぎ澄まされた刃物のように、膨張した万物から熱を奪い、余分を剥ぎ取り、本質をさらそうとする。銀輪に反射する弱い光が、つるべ落としの夕闇に銜えられて一日が終わる。容赦のない修練の後に残った物、それが分け前だ。

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