ジェンダー論とドラマ『きのう何食べた?』

ジェンダーという言葉を聞くようになった。セックス(sex)が生物学的な意味での性別、雌雄をさすのに対して、ジェンダーとは、「社会的・文化的に形成された性別」と解釈される。もうちょっと砕いて言えば、「男は男らしく、女は女らしく」という意味合いである。

ジェンダーとは、言うなれば、”社会が命じる性”である。でも、それでは生き難い人々がいて、様々な問題を孕む。映画やドラマじゃなくても、現代人の嗜好やセクシャリティというのは、相当に多様で複雑である。巷では、同性婚やLGBTの市民権が注目されているが、そこに横たわるジェンダー論は、実は、全ての市民に向けられる。同じ時代を生きるからには、社会全体の命題だと言える。

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ニッチな季節とハートの窓

地球の公転に合わせて、季節の歯車はギリギリと動いている。お前は見たのかと言われそうだが、たぶんそうだ。本当の夏が来る前のニッチな時期、気まぐれな梅雨前線が差配する天候は、なんでもありだ。奇術師の手業よろしく、雨雲、降水、太陽、寒暖、虹、落雷と変幻自在である。曖昧で難解な節気に、四季の深淵を見るようだ。

梅雨雲が太陽を隠した日曜日、国道307号をドライブした。座ったのは、サドルではなく運転席で、握ったのは丸いハンドル、踏んだのはアクセルペダル、助手席には家人である。琵琶湖のすぐ足元を横断する国道307号は、ローディーたちが行き交う人気の道である。信号が少なく適度なアップダウンがあるワインディングロードは湖東へと延びる。

夏も近づく八十八夜。。梅雨に磨かれた新緑が深まる宇治田原は折りしも、新茶のシーズンである。茶畑を縫って行く国道のあちこちに『新茶』の幟が立っていた。隣の家人が言う行き先は、宇治田原と信楽の山間にある小さな寺である。

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尾道ラーメンと備中国分寺と横溝映画 -瀬戸内しまなみ海道の旅その4-

自転車を室内に置きたいと言うと、フロント係は、快く応じてくれた。そして、ベッドの足下にビニールシートを敷いてくれた。ベッドの足下は、自転車を置くには、ちょうど良いニッチなスペースだった。

尾道ラーメン 一丁福山駅前の繁華街に出た。駅前の路地を歩いて、少し迷って、お目当ての店を見つけた。『尾道ラーメン 一丁』である。ネット評によると、地元では知らない者はないぐらいの超の付く人気店という事だ。

カウンターだけの店は、すでに満席だった。待ち客までいる。ハッキリ言って店は狭い。しばらくすると席が空いた。

尾道ラーメン 一丁入口付近にある発券機で食券を買う方式である。注文は、ラーメンとチャーハンのセット。

背油が浮いた深い色の醤油ラーメンが出てきた。チャーシューと刻みネギが乗っている。麺はストレート。入口に製麺所と書いてあったので、自家製麺だろう。たちまち平らげた。おいしゅうございました。

ホテルに戻って、もう一度風呂に入った。今日の走行距離は、ここしばらくなかった運動量である。オヤジはハリキリ過ぎである。どうやら代謝が追い付いて無いようだ。身体は疲れていたが、老廃物を出すためか、どんどん発汗していた。

ビールを飲んで、ベッドに横たわった。別に心配していないだろうが、スマホで、家人に無事を報告したり、明日の天気を見たりした。それも束の間。睡魔の懐に呼ばれるのに時間は掛からなかった。

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多々羅の龍と尾道と渡船フェリー -瀬戸内しまなみ海道の旅その3-

多々羅大橋には龍が棲んでる。橋の中ほどの愛媛と広島の県境を過ぎて、しばらく進むと、多々羅鳴き龍というスポットがある。そこは、橋のワイヤーを束ねる主塔の根本にあたる。そこでパンと両手を叩いた。すると、ヴァン、ヴァン、ヴァン・・・と音が響鳴して空へ昇っていった。鳴き龍である。

多々羅鳴き龍の動画

多々羅大橋伯方島の塩、生口島の檸檬、因島の除虫菊、その他諸々、しまなみに海道は名産やグルメが多くある。しまなみ海道の見どころは、多くのメディアで紹介され、同海道を特集した雑誌は数知れない。今や、サイクリスト達から、最も注目される観光地となっている。注目は国内だけとは限らない。行く先々で相当数の外国人サイクリストを見かけた。

瀬戸内海はその名の通り、日本列島の内海である。穏やかで温暖な気候。すべては海と太陽の恩恵の上にある。自転車で走れば、かいま見える島の生活や文化が示唆的である。どうしようもない都会の価値観に毒された頭には良薬だ。島と島を繋いだ道は、海と空を貫いて延びる。時速20キロで見る景色が命を洗濯してくれる。 “多々羅の龍と尾道と渡船フェリー -瀬戸内しまなみ海道の旅その3-” の続きを読む

しまなみ海道とお遍路文化 -瀬戸内しまなみ海道の旅その2-

オレンジフェリー

オレンジフェリーは定刻通り、朝6時に東予港に到着した。たまに響く船のスクリュー音を聞きながらの一夜だった。浅い眠りから目覚めた私は、身支度をして、組み立てたロードバイクを引いて船を降りた。

生まれて初めて四国に足を踏み入れた。輪行して四国に入るという、ここ数年の希望が叶った朝だった。曇り空で気温は相当低い。ショートのレーパンではちょっと寒い。予報によれば晴れになるハズである。

瀬戸内沿岸をトレースする予讃線を横目に国道を漕ぎ進んだ。目指すは、しまなみ海道の起点、今治市である。

四国には「お接待」という文化が根付いている。お接待とは無償でお遍路さんにお菓子や飲み物などを施すことを言う。四国の人々が、旅人を助ける文化は、お遍路に限った事ではないようだ。それは、四国の地に降り立って早々、ヘルメットにサングラス、半レーパン姿という私にも向けられた。四国の人の心に触れる出来事だった。

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