秋桜と花ざかり

雲ひとつ無い青空が現れた。大陸性の高気圧が乾いた風を吹かせて、太陽は柔らかい陽射しを注いでいる。実りの頭を垂れていた稲は刈り取られ、柿畑のソレは順調に色を変えつつある。

大原野は秋本番である。朝夕の冷え込みが心地良い今時が、自転車放浪が命綱のオヤジにとっての絶好期である。

西山連峰の麓。高速道路を見渡す丘陵地。農道の脇に秋桜が群生していた。毎年咲く場所だ。青空に薄いピンクが映えている。

およそパソコンで、「こすもす」と入力しても「秋桜」とは変換してくれない。秋桜は本来、”あきざくら”と読む。秋桜(コスモス)を定着させたのは、山口百恵が歌ったあの歌である。

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自転車おやじのボンゴレロッソ



151018oe-kakibatake01乾いた秋空は、これでもかと言うくらい青い。ひとシーズンに何度もない快晴だ。そんな絶好の日和に、お気に入りのジャージを着て、家を飛び出した。駆るは、もちろん例のアレだ。

ニソト(京都第二外環状道路)の大原野インターチェンジがある辺りは、大枝山と言って、もともと柿畑だった場所だ。10月も半ばを過ぎた頃、今年もタワワに実った富有柿が丘陵地を彩る。秋の富有柿は、春の筍と並んで、洛西の目玉である。

西山々麓、大原野。田畑と竹林を縫って続く細い坂道に、民家、神社、ため池等が点在している。麓を貫いた高速道路の橋脚が連なっている事を差っ引いても、景色はまだまだ牧歌的だ。

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オータムテキストと満月モール



神無月。手品のように咲いた彼岸花は、田圃のあぜに散った。代わって、街道の路肩を飾ったコスモスだったが、それももう終わりだ。日ごとに冷める空気が山里の景色に明暗を与えている。忍び寄る秋の仕業は、研ぎ澄まされた刃物のように、膨張した万物から熱を奪い、余分を剥ぎ取り、本質をさらそうとする。銀輪に反射する弱い光が、つるべ落としの夕闇に銜えられて一日が終わる。容赦のない修練の後に残った物、それが分け前だ。

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