春の早朝。パッキングしたロードバイクを担いで、電車に乗った。自転車業界で言うところの輪行(自転車を手荷物にして電車に乗る事)である。スポーツバイクが人気の昨今、輪行については、あちこちの雑誌やメディアで紹介されている。自転車のパッキングと多少の作法を習得すれば、電車と自転車の連係で活動範囲は格段に広がる。花粉の飛散と共にオヤジの鼻はムズムズ、気持ちはソワソワ、前夜からゴソゴソと支度をして、ひとり善がりなオヤジの旅の始まりである。
美山サイクルロードレースと佐々里峠
どうにかこうにか九鬼ヶ坂峠を越えてかやぶきの里にやって来た。『まんが日本昔ばなし』よろしく、山間の集落に茅葺屋根の民家が並んでいる。日本の原風景といったところだ。ここは今や、美山町一番の観光スポットだろう。人も車もバイクもワンサカいる。数年前に訪れた時と比べて、駐車場が整備されて食事ができる店も増えていた。ちょっと休憩して、ざる蕎麦を一枚食べた。
この日、たくさんのローディを見かけた。ちょうど一週間後の日曜日、『京都美山サイクルロードレース』が催されるのだ。レースの下見に来るくらいだから、みんな速そうなお兄さんばかりである。美山のレースは、素晴らしい環境で、しかも公道で行われる。人気があるのも頷ける。その昔、身のほど知らずにも、出場してみようかと真剣に考えたが、実現していない。