琵琶湖一周を企てている。変わりやすい9月の天気予報をにらみながら、時計回りにするか、反時計回りにするか、気温はどうなのか、レーパンは短いので大丈夫なのか、やっぱり7分パンツで行くか、ジャージはコレか、道中何を食べようか、などと思案している。そうやってゴソゴソと準備している時間が楽しいのは、遠足前の小学生と同じである。
40歳でロードバイクを覚えた私が、初めて琵琶湖を一周したのは、およそ10年前である。持ち前の適当さと思い込みでもって、単独で琵琶湖大橋を時計回りで出発したはいいが、すぐにパンクに見舞われる。国道でガラス片を踏んだのだ。タイヤの空気はすっかり抜けていた。それなりの覚悟で始めた一大イベントが早々に終わるのか、という危機だった。